相思相愛・夫婦の日常~羽♡兎編~
若畑は、黒羽と同期の一番仲良くしている同僚。
さっぱりしていて、話も合う。
更に、人付き合いが苦手な黒羽を今回のようによく助けてくれる良き友人だ。

“ちょっと早いけど、酒飲もうぜ”
と言うことになり、昼から飲める居酒屋に向かった。
黒羽達が向かった居酒屋は、昼から飲め更に喫煙も可能な店。

座敷の席に通される。
「月曜の昼から飲むとか、なんか変な感じじゃね?」
「確かに~」
社員達が、口々に言っている。

そんな中、黒羽の横に高城が座ってきた。
「王宮さん、何飲みます?」

「ジンジャー」

「え?飲まないんですか?」

「はい、飲みません。
酔って奥さんに迷惑かけたくないので」

「お酒弱いんですか?」

「いえ。弱くはないですよ?」

「じゃあ、飲みましょうよー」

(ウザい!)
「ううん。弱くないって言っても、酔わないわけじゃないから」
そう言って、内ポケットから煙草を取り出した。
「若畑、灰皿取って」
「ん!ほらよ」
斜め向かいに座っていた若畑に言い、灰皿を受け取る。

「ありがと!」
煙草を咥えて、火をつける。
天井に向かって煙を吐いた。

「「「カンパーイ!!!」」」

「王宮さんの奥さん、どんな人なんですか~?」
高城は、黒羽に張り付くように話しかけていた。

「可愛い人ですよ」

「へぇー!芸能人の誰に似てます~?」

「いません」

「えー!誰かいるでしょ~?」

「いません。
だって、奥さんは世界で一番可愛いから。
俺は、奥さん以上の人間はいないと思ってるので」

はっきり言い切る黒羽に、高城も押し黙ってしまう。
黒羽は(やっとおとなしくなった!)と、安心したようにジンジャーエールを飲み、食事を口に運んだ。

「王宮の奥さん、確かに美人だよなぁー」
「あー!去年、王宮が入社してすぐくらいに、会社に来てたもんなぁ!」
「あんな美人、存在すんだな!ビックリした!」
同僚社員達が酒を飲みながら、ケラケラと笑い言った。

「高城、だからやめとけよ!」
「え?」

「王宮、奥さんにベタ惚れだし!
それに、あんましつこいと……な?王宮!」
若畑が黒羽に目で訴える。

「は?何?」
しかし黒羽は、若畑が何を言いたいのかわからない。

「もう、言っちゃえよ!」
「何を?」

「元ヤンだって!
しかもこいつの身体、刺青凄いよ?」

「え?」
高城が、目を見開く。
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