辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
妃候補になりました
だん、と音を立てて、テーブルに短剣が突き刺さり、美しいクロスに穴が開く。
木製のテーブルならまだしも、象牙と見紛うほど艶やかな大理石のテーブルだ。どう見ても普通の短剣にしか見えないそれが、突き刺さるわけがない。
それに気付いた痩せ型の男は、苦笑しながら目の前の大男をなだめようとした。
「落ち着け、マルセル。まだなんの説明もしてな――」
「最近、年のせいか耳が遠くてな」
見せつけるように短剣を引き抜いた男は、がっちりとした体格に見上げるような身長と、まるで熊のような男だった。
野性的な髭のせいでかなり威圧感があるが、一応、今は笑みを浮かべている。
木製のテーブルならまだしも、象牙と見紛うほど艶やかな大理石のテーブルだ。どう見ても普通の短剣にしか見えないそれが、突き刺さるわけがない。
それに気付いた痩せ型の男は、苦笑しながら目の前の大男をなだめようとした。
「落ち着け、マルセル。まだなんの説明もしてな――」
「最近、年のせいか耳が遠くてな」
見せつけるように短剣を引き抜いた男は、がっちりとした体格に見上げるような身長と、まるで熊のような男だった。
野性的な髭のせいでかなり威圧感があるが、一応、今は笑みを浮かべている。
< 1 / 426 >