辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
(やっぱり殿下はとても公平な人だわ。強い人だけを見るんじゃなくて、強くあろうと思う人も見てくれる。それに、国と民のために力を貸してほしいと言っていた。この方が未来の国王になるなら、エモニエも安泰ね)

 父や兄に向けるものと同じ尊敬の気持ちを、ランベールにも抱く。

「私……殿下の力になるための妃になら、なりたいかもしれません」

 思ったままを口にすると、ランベールが微かに目を見張った。

 しかしすぐ、なんとも言い難い笑みを口もとに浮かべる。

「そう言われるのが一番うれしい」

 嘘を感じなかったランベールの言葉に、ほんの少し濁りを感じた気がした。

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