辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
 朝から突っかかられてむっとしたリティが反論すると、デルフィーヌはぱちんと自分の髪をバレッタで留めて笑った。

「敵よ。選ばれるのはたったひとりなんだから」

 椅子から立ち上がったデルフィーヌは、それ以上の会話は無駄だと言わんばかりの態度で部屋を出て行く。

「敵なんて思いたくない私がおかしいの?」

 もやもやした気持ちが晴れずに言うと、ニナがこめかみを掻いて言う。

「私もそういうギスギスしたのは嫌だな。うちの一族ってそういう負の感情に反応しちゃうから、具合が悪くなるんだよね」

「それよりふたりとも、急がなくていいんですか? 朝食の時間に遅れたら、なにを言われるかわからないですよ」

< 105 / 426 >

この作品をシェア

pagetop