辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
 王族に対して不敬とも呼べる物言いだった。

「最後のひとりなんだ。多少はかまわないだろう?」

 素っ気なく言うランベールに、騎士の金の瞳がきらりと光る。

「リティシア嬢を気に入ったんですか?」

「くだらない質問をするな、ジョスラン」

 ランベールが顔をしかめて言う。

 肩をすくめた騎士は、名をジョスラン・アンブローズ・ウェルボーンという。

 デルフィーヌの生家であるルビエ家と近しい間柄にある、ランベールの乳兄弟だ。

 ランベールの前で帯剣を許される護衛騎士でもある。

「俺に選択肢はない。お前が一番知っているはずだ」

「まあ、そうですね」

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