辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
 ジョスランはさっぱりとした淡紅色の髪を掻いて、皮肉げに口角を引き上げる。

「その割には楽しそうに話してたようなので、一応聞いておいたほうがいいかなと」

「この妃決めが茶番だろうと、候補者と過ごす時間まで空虚にしたくはない」

「それも本心なんでしょうけどね。……しっかりしてくださいよ」

「わかっている」

 ランベールは先ほどまでリティシアが座っていた席を見下ろした。

「……彼女と話していると、不思議と気が緩むんだ」

「でしょうね。そういう顔をしてましたから」

 ランベールから見て、リティシアは恐ろしいくらい純粋無垢だった。

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