辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
 長兄のトリスタンも勉強ができないわけではないが、普段から無口なせいか教えるのが壊滅的に下手だったためである。

 溺愛する妹が相手でも容赦なく知識を叩き込んだジョエルのおかげか、リティにとって勉強はさほど苦にならなかった。

 知らないことを知る喜びもあり、むしろ積極的に学びの時間を作っている。

「あまり妃になりたくないのかと思っていましたが、それなのに勉強をするんですか?」

 エリーズに話しかけられたリティは、少し考えてからうなずく。

「妃になりたくないわけじゃないの。殿下はとてもいい人だし……」

(なぜか、放っておきたくなくて)

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