辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
 ふたりで話したときのことは、何度もリティの頭を悩ませた。

(殿下は候補者を『物』として見なきゃいけないといていたけれど、国のために愛していない人と結婚する殿下は、『人』として扱われているのかしら……)

 それについて考えるとき、リティはいつも切なくなった。

 ランベールの人柄を知っているがゆえに、彼の幸せを願ってしまう。

「なりたくないわけじゃない、なんてぬるい気持ちで選考に残ろうとしないでください」

 がた、と音がしたかと思うと、エリーズが激情を押し殺した顔でリティを睨んだ。

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