辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
 鳥舎で働く鳥丁たちとも仲良くなり、日々未知の体験に心を躍らせていた自覚はある。

 しかし、リティがここにいる理由は友だちづくりではない。

(仲良しではいられない。私たちは、敵同士)

 しょんぼりと肩を落としたニナも席を立つ。

 共に食堂を出たリティたちだったが、ふたりとも部屋に戻るまでひと言も話さなかった。



 エリーズとの関係が悪化したことにより、四人部屋の空気も気まずいものとなった。

 ニナは今まで以上に部屋に居つかなくなり、リティもまた外で過ごす時間が増えた。

(だめだわ。勉強なんて頭に入らない……)

 図書室から持ち出しを許された本を閉じ、リティはうつむいた。

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