辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
「あなたのような人が妃になれば、きっと殿下も幸せになれるでしょうね」

 リティの胸が小さく音を立てる。

 昨夜、助け出されて醜態をさらしてから、ランベールには会っていない。

「どう……かしら」

「今も妃になりたいとは思っていないんですか?」

 リティは浅い呼吸を繰り返し、エリーズを見つめて首を横に振る。

「やれるだけやってみたいと思っているの。これもエリーズからすれば許せないかもしれないけれど……殿下が背中を押してくださったから」

「殿下が……? あなたに頑張ってと仰ったの?」

「うん。だから頑張りたい。それに……」

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