辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
「私も、きっとほかの候補者たちも、殿下をエモニエ王国の王子として見ています。でもあなたは違うんですね。あの方を、ただのランベール様として見ているのだわ」

 エリーズの言葉は驚くほどリティに衝撃を与えた。

(だから、なのかしら。あの夜、殿下の話し方が変わったのは……)

 ランベールはリティと話したとき、自分を『私』ではなく『俺』と言った。

 あまり気にしてはいなかったが、あの瞬間、彼は王子としての自分ではなく素を見せていたのかもしれない。

「だとしたら、あなたは最後まで残らなければ。殿下のために」

 そう言うと、エリーズは不意に周囲を見回した。

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