辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
 ほかの候補者たちが辞退を申し出た理由は、リティにもわかる気がした。

 あんな恐ろしいゴーレムとやり合わねばならないときが来るかもしれないと思うと、逃げ出したくなる。

「そんな悪人を殿下の妃にはさせられないわ。それくらいなら、私が妃になってみせる」

「そのときはハスケル家があなたの力になります。助けが必要になったら、いつでも呼んでください」

 さっきまで泣きじゃくっていたとは思えないほど凛とした態度で言い、エリーズはリティの前に膝をついた。

「エリーズ!」

 驚いたリティが名を呼ぶも、エリーズはうつむいたまま地面を見つめている。

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