辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
「オリーという子が調理を担当してくれたの。あの子、美食家(ノトール)だったのよ」

「えっ、すごい。じゃあ間違いなくおいしかったんでしょうね」

 美食家と呼ばれる種族は人間に非常に酷似しているが、味覚が人間の数十倍から数百倍発達している。

 しかし彼らが料理にこだわる理由は自分たちが食べるからではない。

 この種族は他者の感情をつまみ食いする変わった習性があった。

 ゆえに、最も美味とされる喜びや幸せの感情を得るために、極上の料理を供して他者の感情を分け与えてもらうのだ。

「あーあ、やっぱりデルフィーヌと同じ班がよかったよ。個人対決は絶対したくないけど、班員なら心強いもん」

< 303 / 426 >

この作品をシェア

pagetop