辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
 ふと、リティは足を止めた。

 いつもならなにか言ってくるであろうデルフィーヌが、うつむいたまま黙っている。

「どうしたの? もしかしてあなたまで……」

「違うわ」

 デルフィーヌが勢いよく立ち上がったため、リティは自分のベッドにひっくり返りそうになった。

「……違うの」

 弱々しく告げたデルフィーヌの顔色がひどく悪い。

「違うってなにが……」

「わたくしにかかわらないで」

「えっ……待って、デルフィーヌ!」

 リティが止めるのも聞かず、デルフィーヌは部屋を出て行った。

「なにが起きているの……?」

 わけもわからず、リティはその場に立ち尽くす。

< 309 / 426 >

この作品をシェア

pagetop