辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
(妃にならなくちゃいけない理由が、またひとつ増えたわ)

 次の標的が自分かもしれない不安よりも、友人を傷つけられた怒りのほうが大きかったリティは、しばらくかっかした日々を送っていた。

 そんな中で気になったのは、デルフィーヌの様子だ。

 今日もリティはささくれ立った心を癒やそうと、勉強会の後に鳥舎に来た。

 そこにはなぜか、デルフィーヌがいる。

「デルフィーヌ」

 リティが呼ぶと、デルフィーヌの肩がびくりと跳ねる。

 振り返った彼女の顔色は悪く、少しやつれていた。

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