辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
「もしかしたら、これから違う部屋に集められるかも。今残っているのは十人だから……五人部屋がふた部屋とか」

 デルフィーヌがなにか言いかけるも、首を振って溜息を吐く。

 そのまま立ち去ろうとしたのを見て、リティは咄嗟に細い腕を掴んでいた。

「離しなさい!」

「離さないわ。最近のデルフィーヌはどう考えてもおかしいもの。なにがあったか教えて。じゃないと力になることもできないじゃない」

「誰があなたに助けてほしいと頼んだのよ……!」

 その瞬間、勢いよく突き飛ばされてリティは転んでしまった。

< 313 / 426 >

この作品をシェア

pagetop