辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
「フィーなら安心して任せられます。私が一番尊敬する優秀な候補者ですから」

「……君を選べない俺を許してくれ」

「その気持ちだけで充分です」

 物わかりのいい言葉を言ってから、急にリティの胸が痛んだ。

「……でも、私がなりたかったな」

 ぽつりと言うと、リティは少しためらった後にランベールの背中へ腕を回した。

「好きです。たぶん、最初に助けていただいたときから好きでした」

「その割にはふたりでいても戦鳥の話ばかりだった気が……」

「ランベール様の次に好きなものなので」

「俺が一番か。それならいい」

 ランベールもリティを抱き締め返し、肩口に顔を埋める。

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