辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
 この作戦のために配備された騎士たちはいつでも攻撃できるようかまえていたが、まったく気にも留めず、なにかを探している。

 やがてその視線がリティたちの背後で止まった。

「ああ、それね」

 喜びと憎しみが入り交じる複雑な声だった。

 リティがすぐに背後にある大きなガラス玉を振り返る。

 人ひとりすっぽり入れそうな大きさのそのガラス玉には、青い炎が収められていた。

 温かいようで冷たく、冷たいようで温かい不思議な炎は、空気もないのに揺らいでいる。

 この炎こそが妖精だった。

 湖の深い場所でこの国を温め、王族に力を与えている偉大な存在である。

「捕らえろ!」

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