辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
 堂々と姿を現したブランシュに思考停止していたランベールだったが、はっと我に返って騎士たちに指示を出した。

 十数人もの騎士がブランシュに駆け寄るも、彼女はまったく焦りを見せない。

「遅いわ」

 刹那、ブランシュの姿がふっと掻き消えた。

「わたくしがなんの手段もなく現れたと思っているの?」

 嘲笑は、炎の妖精が包まれたガラス玉のそばで聞こえた。

(いったいどうやって……!?)

 リティはずっとガラス玉を見ていたはずだ。

 それなのになぜか、そこにブランシュがいる。

(まさかブランシュだったなんて。しかも知らない能力を持っているわ)

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