辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
 なんとかそう伝えると、ふたつの光が淡く発光して溶けた。

 彼らがリティの言葉をどう受け止めたかはわからなかったが、その直後に時間が動き出す。

「あっ……えっ?」

 ランベールに襲い掛かったブランシュは、自分がなぜか胸もとまで氷漬けになっていると気づいて戸惑いの声をあげた。

「どうなっているんだ……」

 ランベールもまた驚いた様子を見せる。

 ブランシュは今もなお自分が凍っていくのを察して、恍惚と笑い出した。

「素敵だわ……!」

 彼女は氷を盲目的に愛している。

 だからこの後に自分がどうなるか知っていても、氷によるものだから喜んでいるのだろう。

「ブランシュ……」

< 398 / 426 >

この作品をシェア

pagetop