辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
 もう危険はないと悟り、リティはブランシュに歩み寄った。

 氷の彫像と化していく彼女を見上げ、唇を噛み締める。

「あなたとちゃんとお茶会をしたかったわ」

「ごめんなさいね、リティ。わたくし、熱いものは嫌いなの」

 その言葉を最後に、一気に氷が広がる。

 急激に気温が下がってくしゃみをしたリティは、もう目の前の彫像がなにも話さなくなったことを知ってうなだれた。

「事情を聞いている余裕はなさそうだな。いずれここも崩れる。早く逃げるんだ」

 激しい戦闘とブランシュが落とした雷の余波で、広間は燃え盛り、いつ崩壊してもおかしくない状態だった。

「殿下! 外です! 鳥たちが!」

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