辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
 先ほどの勢いはどこへやら、しゅんと肩を落とした父親から視線を外し、リティはもうひとりの痩せた男、ロベールを振り返る。

 少女を見た瞬間、ロベールの表情がぱっと明るくなった。

「リティ! ずいぶんと美人になって……!」

 破顔したロベールに向かって駆け寄ったリティもまた、笑顔を浮かべる。

「ロベールさんも最後に会ったときより、素敵になったわ」

「ははは、リティほどじゃないよ。いくつになったんだね?」

「この間十七歳になったばかりよ」

「そりゃあ大きくなるわけだ……。昔はこんなに小さかったのに」

 ロベールが自身の腰あたりを示し、今は頭ひとつ分の差まで成長したリティを見つめる。
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