辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
「この子、あのときの雛です。いつの間に飛べるようになっていたの?」

 雛と呼ぶにはずいぶんと大きくなった鳥が、クルルと成鳥に似た鳴き声を発する。

 まだその声は幼く、成鳥に比べるとかわいらしかった。

「君のために飛べるようになったのかもしれないな」

「だとしたらうれしいわ。でも最初に飛ぶところを見たかっ――」

 無事に脱出して安堵したのも束の間、急に雛が翼を動かすのをやめてしまう。

「ちょ、ちょっと!」

 きゅうう、と雛が情けない声で申し訳なさそうに鳴く。

 どうやら飛べるようになったとはいえ、ふたりの人間を乗せるのは難しかったらしい。

「きゃああっ……!」

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