辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
 真っ逆さまに落ちていくリティを、ランベールがしっかりと抱き締める。

 そのまま落下するかと思いきや、横から素早く飛んできた別の戦鳥がふたりを受け止めた。

「ど、どうなるかと思ったわ……」

「あいつには飛ぶ訓練をしてやったほうがよさそうだ」

 へとへとになっている雛が疲れた顔でそばを飛んでいる。

「ともかく、終わったな」

「はい。大変でしたね」

「ああ」

 リティは空を見上げた。

 ブランシュの放った雷の影響で雨が降っていたのに、もう晴れて星が見えている。

「ランベール様と戦鳥に乗るのは二度目ですね」

「もうずいぶん昔のことのように思える」

(あのとき、私たちは……)
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