辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
 その中でやはりひと際目立つ優雅さを見せたのはデルフィーヌだった。

「今日に至るまで、候補者たちは――」

 形式的な口上の間、リティはひたすら自分の気持ちを落ち着かせていた。

 この後、デルフィーヌの名前があがる。

 そのときに間違えても悔し涙を流さないように、何度も自分へと言い聞かせる。

「――それでは、発表いたします」

 場内にあまり緊張を感じないのは、暗黙の了解でデルフィーヌになるとわかっているからだろうか。

 リティはもしかしたらと、叶うはずがないとわかっている望みに思いを託した。

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