辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
 控えていたランベールは、父王をまっすぐに見つめ返す。

「お言葉ですが、父上。まだ妃ではありません」

「そうだったな。それで、お前はどうする?」

「……私は」

 ランベールは振り返って候補者と――リティを見た。

「選ばれた妻ではなく、自分で選んだ女性を妻としたいです」

 それが許されるのなら、と言外に込められているのは明らかだった。

 彼もまた、デルフィーヌが作ってくれたこの奇跡にすべてを賭けている。

 国王はしばらく黙った後、隣の王妃になにかをささやいた。

 そして少し笑ってから、再びランベールに向き直る。

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