辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
「元来、妃選抜は他者の思惑を介さない純粋で崇高なものであった。この選抜の本来の目的は、いずれ未来の王妃となる者が国内の有力者たちと縁を深めるためのものだ。我が妃が、かけがえのない友に恵まれたように」

 大広間はしんと静まり返っていた。

 リティも呼吸すら忘れて、国王の言葉に耳を傾ける。

「お前は少々、周りの意見を聞きすぎるきらいがある。……心のまま、したいことをするがよい」

「……はい」

 ランベールの声が震えたのは一瞬だけだった。

 振り返って改めてリティの前へ歩み寄ると、その足もとにひざまずく。

「リティシア・クロエ・ティルアーク殿」

「はい」

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