辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
ここからが本番
 無事に妃に選ばれたリティだったが、ここからが始まりだった。

「先生……これ以上、勉強をしたら頭が割れそうです」

 自室で泣き言を言うリティに、厳しい声が刺さる。

「甘えないでちょうだい。このわたくしを押しのけて妃になったのだから、どこの国よりも完璧な作法を身に着けてもらうわ」

 どこか晴れ晴れとした顔で言ったデルフィーヌが、嫌がるリティに教本を押しつける。

「昨日までに暗記しなさいと言ったでしょう。覚えられるまで昼食はなしよ」

「そんな! 妃なのに!」

「あら、じゃあ時間が経てば経つほど食事を質素にしていくのはどう? 最後は水と塩だけになるの」

「もっとひどいじゃない!」

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