辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
 ひくりとリティの唇の端が引きつる。

 さらに二通目を見て、ますますその顔がこわばった。

「なになに? なんて来たの?」

 好奇心旺盛なニナが目を輝かせて尋ねる。

「どっちも『結婚なんてやめろ、うちに帰ってこい』……よ。この調子ならほかの手紙の内容も同じね」

「妃に選ばれたのに、反対していらっしゃるんですか?」

 エリーズが驚いたように言い、リティはあきれ顔のままうなずいた。

「そういう人たちなの。娘を取られたくないみたい。だって兄さんたちもここへ来る前は、未来の夫を相手に決闘を仕掛けるつもりだったのよ」

「なんだと……」

< 419 / 426 >

この作品をシェア

pagetop