辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
「弱みがあるのに完璧なのか。マルセル殿は難しいことを言う」

「人は弱いから強くなれるんだそうです」

「それをわかっているからこそ、幾度となく他国の侵略者を退けられているのか」

 マルセルがいるから、敵はエモニエの土地を踏むことなく逃げ帰るしかなくなる。

 リティはまた、父の偉大さを実感して誇らしくなった。

「だったら未来の王妃の条件にそれも加えておこう。自分の弱みを理解している者、だ」

 ランベールの言葉はあながち冗談でもなさそうだった。

 リティは改めてしげしげとランベールを見つめる。

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