石の下に眠る君に早く 「愛してる」が言いたい
知り合った当初から、彼女はここに入院していた。
僕が副鼻腔炎という厄介な鼻づまりの手術で、1週間の病院生活を余儀なくされていた時のこと。この総合病院の1階にある売店が、記念すべき出会いの場だった。
長い点滴の管を手の甲に刺し、ズルズルとスリッパを言わせながら歩く小さいハルカ。実際の年齢よりも随分と幼く見えたのは、長年の病いのせいだろう。
背の低いパジャマ姿が背伸びをして、プルプルと手を伸ばしている。
「届く?」
頭二つ分背の高い僕は、ペットボトルを代わりに取ってやった。
これが付き合ったきっかけであり、僕の一目惚れであった。そう。僕は初めて誰かに恋をした。それからは早かった。頼み込むように交際を申し込み、半ば強引に付き合ってもらった。
ハルカはとても驚き、しぶしぶ交際をすることを許してくれた。退院はまだずっと先だが、それでも良いかと条件をつけて。
その時小さな声で教えてくれた。
「私ね。ずっと心臓を待ってるの」
つまり移植の順番待ちのハルカとは、この病院という寂れた場所でのみ会うことを許されていたのだ。
僕が副鼻腔炎という厄介な鼻づまりの手術で、1週間の病院生活を余儀なくされていた時のこと。この総合病院の1階にある売店が、記念すべき出会いの場だった。
長い点滴の管を手の甲に刺し、ズルズルとスリッパを言わせながら歩く小さいハルカ。実際の年齢よりも随分と幼く見えたのは、長年の病いのせいだろう。
背の低いパジャマ姿が背伸びをして、プルプルと手を伸ばしている。
「届く?」
頭二つ分背の高い僕は、ペットボトルを代わりに取ってやった。
これが付き合ったきっかけであり、僕の一目惚れであった。そう。僕は初めて誰かに恋をした。それからは早かった。頼み込むように交際を申し込み、半ば強引に付き合ってもらった。
ハルカはとても驚き、しぶしぶ交際をすることを許してくれた。退院はまだずっと先だが、それでも良いかと条件をつけて。
その時小さな声で教えてくれた。
「私ね。ずっと心臓を待ってるの」
つまり移植の順番待ちのハルカとは、この病院という寂れた場所でのみ会うことを許されていたのだ。