石の下に眠る君に早く 「愛してる」が言いたい
「抱きしめたくなった」
唐突に言った。何か別の話で励まそうにも、とっさに話題が見つからなかった。

「うん。いいよ」
折れそうに細い背中に腕を回す。良かった。あたたかい。人間としての温もりに少し安堵する。

「僕はね。これから先もずっと。一緒に居るって決めてるからさ。例え逃げてもこうやって。ぎゅーってして離さないぞ」

彼女がくすぐったそうに身を震わせる。

「こうやって抱きしめて、癒して貰うの。携帯の充電みたいに。ピッタリくっついてると、毎日の疲れが飛んでっちゃう。不思議だよね」

腕の中でコロコロと笑い声がする。つられて僕も笑う。

「かわいいなぁ。そうやってもっと笑ってごらん?病気の方から逃げてくんじゃない?怖いの怖いの飛んでけ〜痛いの痛いの飛んでけ〜」

ハルカの笑顔が。そのか弱い声が。たまらなく愛しかった。僕に出来ることなら、なんでもしてやりたい。改めてそう感じさせた。
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