石の下に眠る君に早く 「愛してる」が言いたい
「明日。誕生日だよね?」
腕の中にいる彼女にそう尋ねると、目を細めて頷いた。

「持ってきた物がある。ちょっと目を瞑ってくれる?」
紙袋から小さい2つの金属を取り出す。

「動くなよ?」
耳を優しく触り、両方の耳たぶにゴールドの小さな飾りを付ける。

閉じられた瞼に生えるまつげを見て、胸がドキドキした。なんせ僕たちは、キスすらしたことがないのだ。

「目を開けて」

スマートフォンをインカメラにして渡す。

「ピアス。やっぱり似合うね。お誕生日おめでとう。どう?」

「ありがとう」

良かった。喜んでくれた。指輪やブレスレット。ネックレスに髪留め。女性へのプレゼントを選ぶのは本当に難しい。

点滴の邪魔にならないように。痩せた体でサイズがブカブカにならないように。考えに考え、百貨店を何日も歩き回り、ようやく決めたプレゼントだった。
< 6 / 13 >

この作品をシェア

pagetop