石の下に眠る君に早く 「愛してる」が言いたい
「これなら小さいしね。付けっぱなしでも違和感ないでしょ?」

ハルカが嬉しそうにピアスを触る。

「このまま写真を撮ろうか」
シャッターを切った。

とてもかわいい。見立て通り、とても似合っている。そして気がついた。ハルカの目から涙が溢れていることに。

「ごめん。嬉しくてつい」

良かったと安堵し舞い上がった僕は、堰を切って話した。

「そんなに嬉しいなんて、僕も嬉しいよ。治るよ絶対。そうしたら、やりたいこと。いっぱいあるんだ。映画、ドライブ。外食もしたい。遊園地も行こう。あと旅行も」

夢に描いていたデートプランを彼女は微笑みながら聞いていた。

「移植の順番が早く回ってきて欲しい。本当は僕心臓をあげられれば良いのに」

「それじゃあなたが死んじゃうじゃない」
また彼女が笑ってくれた。

「じゃあ心臓を半分こな?なかなか悪くない話だろ」

僕たちの会話には、当たり前のように、時々”死”という単語が出てきていた。

生きることと死ぬことは、とても近い位置にある。表と裏。踏み外したらすぐに足を取られる沼のようだ。彼女の場合は特にそうだったのかもしれない。
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