冷徹御曹司の偽り妻のはずが、今日もひたすらに溺愛されています【憧れシンデレラシリーズ】
第一章 甘すぎる愛は罪
第一章甘すぎる距離は罪
青空に入道雲が浮かぶ七月半ばの日曜日。繁華街に続く大通りは多くの人で賑わっていた。
夏本番を迎えて気温が一気に上昇し、通り過ぎる人たちの顔はどれも赤い。
「……ふふっ」
通りに面したカフェで紅茶を飲みながら人の流れを眺めていた三園杏奈は、このあとの予定が楽しみでつい笑い声を漏らした。
今日は杏奈の二十五歳の誕生日で、大切な人に祝ってもらう予定なのだ。
あまりにも楽しみでじっとしていられず、約束の時間より一時間も早く待ち合わせのカフェにやって来た。
今日のために用意したシフォン素材のワンピースのシワを無意識に伸ばしながら、気持ちを落ち着かせる。
淡いベージュでスタンドネックのワンピースはわずかに袖がふわりと膨らんでいて優しいイメージだが、全体的にシンプルで落ち着いた印象だ。
ワンピースと同系色のパンプスにチラリと視線を落とし、杏奈は満足そうな笑みを浮かべた。
服も靴も新調し、待ち合わせに一時間も早く来るほど今日を楽しみにしていたのだ。
つい頬が緩むのを抑えられない。
「あ……っ」
杏奈は窓ガラスに映る自身の顔があまりにも脱力しているのに気づき、慌てて表情を引き締めた。
ワクワクし過ぎてにやけていたようで、恥ずかしい。
気持ちを切り替えようと、傍らの椅子に置いていたバッグからタブレットを取り出した。
青空に入道雲が浮かぶ七月半ばの日曜日。繁華街に続く大通りは多くの人で賑わっていた。
夏本番を迎えて気温が一気に上昇し、通り過ぎる人たちの顔はどれも赤い。
「……ふふっ」
通りに面したカフェで紅茶を飲みながら人の流れを眺めていた三園杏奈は、このあとの予定が楽しみでつい笑い声を漏らした。
今日は杏奈の二十五歳の誕生日で、大切な人に祝ってもらう予定なのだ。
あまりにも楽しみでじっとしていられず、約束の時間より一時間も早く待ち合わせのカフェにやって来た。
今日のために用意したシフォン素材のワンピースのシワを無意識に伸ばしながら、気持ちを落ち着かせる。
淡いベージュでスタンドネックのワンピースはわずかに袖がふわりと膨らんでいて優しいイメージだが、全体的にシンプルで落ち着いた印象だ。
ワンピースと同系色のパンプスにチラリと視線を落とし、杏奈は満足そうな笑みを浮かべた。
服も靴も新調し、待ち合わせに一時間も早く来るほど今日を楽しみにしていたのだ。
つい頬が緩むのを抑えられない。
「あ……っ」
杏奈は窓ガラスに映る自身の顔があまりにも脱力しているのに気づき、慌てて表情を引き締めた。
ワクワクし過ぎてにやけていたようで、恥ずかしい。
気持ちを切り替えようと、傍らの椅子に置いていたバッグからタブレットを取り出した。
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