『オーバーキル』一軍男子に脅かされています
恋人の証と一軍男子

6年後の冬。

「モモっ、お願い!1回だけでいいから、ねっ?一生のお願いっ!!」
「……だから、女子の飲み会ならいいけど、合コンはダメ」
「そこを何とか!!」
「何度頼まれてもダメなものはダメ」
「えええぇぇ~~っ」

大学の4年生になった桃子。
聖泉女学院からエスカレーター式に、聖泉女子大学へと進学した。

専攻は心理医療学科。
学内選抜で大学院への推薦を貰い、先週無事に合格通知を手にした桃子。
教授の手伝いでボランティアをしながら、『臨床心理士』への道を確実に歩み進めている。

同じ心理医療学科の友人・落合(おちあい) 真央(まひろ)(通称:まお)から合コンへの参加を拝み倒されている。

人付き合いが苦手で、他者と関わるのが不得意だった桃子だが、匠刀と離れ、新たな人生を切り拓く一つの目標として、コミュ力向上を掲げた。

心優しい友人たちに囲まれ、高校2年間で得た博愛精神は、桃子の心を大きく成長させた。

6年前とは全く別人と思えるほど、明るく朗らかになった桃子。
心理医療学科だけでなく、他学部の人からもよく合コンの誘いを受ける。

けれど、それらの誘いを一貫して断り続けている。

「好きな人がいるのは分かってるけど、1回だけ……最初で最後にするから!!」
「……ごめんね」

『彼氏がいる』と言いたいところだが、勝手に匠刀から離れた身で『彼氏』だなんておこがましくて口にできない。
だから、せめて……。
『好きな人がいるから』とずーっと言い続けて来た。

何度となく男の子を紹介されたり、合コンの誘いを受けても。
桃子の心の中は、まだ匠刀で埋め尽くされていて、他の人が入る余地がないのだ。

「今回はオール1軍男子なんだよ~~っ」
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