『オーバーキル』一軍男子に脅かされています
6年経っても愛らしい声は変わってなくて。
ベリーショートにしたはずの髪も、6年ですっかり元通りになっていた。
左サイドに流すみたいに編み込まれていて、昔と変わらずよく似合ってる。
しかも、6年前でも十分に美人で色気があったのに、目の前の桃子は、息を吞むほどの美人に成長していた。
桃子は酔っているのか、少しボーっとしてる感じで。
瞬きを何度かして、フッと柔らかい笑みを浮かべた。
「やだっ、……幻覚術マスターしちゃった」
「っ…」
何だ、これ。
気の早いサンタからの贈り物か?
死ぬほど嬉しいんだけど。
それに、すっげぇかわいいっっっ。
嬉しそうに口元に手を当てた桃子は、おもむろに自分の頬を抓った。
「痛くないっ。……やっぱり幻なんだ…」
俺を視界に捉えたまま、一瞬で涙ぐむ桃子。
今にも大粒の涙が零れそうで、俺は無意識に抱きしめていた。
「……ばーか」
俺の声に反応するように、華奢な肩がビクッと震える。
そして小さな手が、ペタペタ、ポンポンと俺の体に触れ、確かめ始めた。
「へ?……何これ、3次元??」
「フッ、……ばーか。いい加減、気づけよ」
「………ッ?!!!!」
ガバッと顔を持ち上げ、仰ぎ見る桃子。
未だかつてないほど驚いた様子で、小さな口があわあわとし出した。
「相変わらず、間抜け面だな」
「なっ…」
「津田?……来ないからどうしたかと思って迎えに来てみれば、何ナンパしてんだよっ」
俺が来ないから様子を見に来た亮介。
俺がナンパしてると勘違いしてる。
「亮介、紹介するな。……俺の彼女」
「ッ?!……ってか、君、聖泉のモモちゃんだよね?!」
「だから、聖泉に彼女がいるって言っただろ」
「えっ、マジだったの?!」