『オーバーキル』一軍男子に脅かされています
変わらない想いとオーバーキル

真っすぐと射抜かれる視線。
彼の本心なのだと、瞳が訴えて来る。


私がいっぱい悩んだように。
きっと彼もたくさん悩んだはず。

その上で、彼はちゃんと私の気持ちを汲んでくれた。

誰かに支えられないとならない人生ではなくて。
ゆっくりでいいから自分の足で歩くことを。

「なぁ」
「……」
「かくれんぼは、もう終わりにしないか?」
「……っ」
「俺は桃子の生き方を尊重するし、俺は俺の目指す未来に努力する」
「……」
「だけど、別々でなくてもいいだろ」
「っ」
「一緒にいたってお互いの夢は叶えられるし、傍にいれば、励まし合うことだってできるだろ」
「っっっ」
「違うか?」

昔から勘の鋭い匠刀だから、私がずっと密かに思い描いたことなんて全部お見通しで。
1%に満たないような、その可能性を手繰り寄せるみたいにしてきた、この6年を。
彼は当然とばかりに余裕の表情で手を差し出して来た。

その手を。
匠刀の手を。

私が掴んだら、私たちの人生は再び、同じ道になるのかな。

「どうした?」
「……」
「怖いか?」
「……怖いというより、本当にいいのかな?と思って…」
「フッ、……ばーか。いいに決まってんだろ」
「んっ…」

掴んでいいのか悩んでいたら、ぎゅっと手を握りしめられて、抱き寄せられた。

懐かしいなぁ、匠刀の胸。
大きくて筋肉がしっかりとしてて。
フレッシュでフルーティーな香りと、仄かに花の甘さもある香水の香りも。

6年経った今でもあの日を思い出せるほど、何一つ変わってない。

「なぁ」
「……ん?」
「ちゅーしていい?」
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