『オーバーキル』一軍男子に脅かされています
*
「こんにちは、香椎 雫といいます」
「こんにちは、初めまして。仲村 桃子です。桃の子と書いて『とうこ』と読みます。今日は急にお邪魔してすみませんっ」
「え~全然だよっ、むしろ、桃子ちゃんの話は虎太くんから聞いてたから、会えて嬉しいよ」
「あ、先輩」
「ん?」
挨拶をしたら、急に虎太くんが彼女さんに耳打ちし始めた。
虎太くん、彼女さんのこと『先輩』って呼んでる。
私が入学する前、去年の南棟で虎太くんはこの彼女さんを口説き落とした。
今では伝説みたいになっていて、彼らが座っていた南側のコーナーテーブルは恋愛成就の席と言われている。
「ごめんね、ひそひそ話とか気分悪いよね?」
「……いえ」
「モモちゃんって呼ばれてるんだって?」
「……はい」
「じゃあ、私もモモちゃんって呼んでいい?」
「……はい」
向かい合う形で虎太くんと彼女さん、私と匠刀で座っていて、嫌でも視界に入る。
「飲むのも食べるのもフリーだから、好きなものどんどん食べてね」
「ありがとうございます」
初めて見た。
虎太くんのあんな無邪気な顔。
それに、虎太くんが惚れるのも分かる気がする。
スレンダーな長身で、落ち着きのある知的な感じで。
匠刀が小学校6年の時に優勝した全小の空手大会で3連覇したという彼女。
それだけでなく、他の格闘技や運動も何でもこなしていたというし。
南棟の普通科に通うだけでもハイレベルな学力なのに、彼女はその中でもエリートと言われる総合特進コースを3年間1位をキープした人。
私なんかが敵うはずない。
心臓に不安を抱えてる時点で、同じ土俵にすら上がれない。
「桃子」
「ん?」
「飲み物、取りに行くぞ」
「……うん」
「こんにちは、香椎 雫といいます」
「こんにちは、初めまして。仲村 桃子です。桃の子と書いて『とうこ』と読みます。今日は急にお邪魔してすみませんっ」
「え~全然だよっ、むしろ、桃子ちゃんの話は虎太くんから聞いてたから、会えて嬉しいよ」
「あ、先輩」
「ん?」
挨拶をしたら、急に虎太くんが彼女さんに耳打ちし始めた。
虎太くん、彼女さんのこと『先輩』って呼んでる。
私が入学する前、去年の南棟で虎太くんはこの彼女さんを口説き落とした。
今では伝説みたいになっていて、彼らが座っていた南側のコーナーテーブルは恋愛成就の席と言われている。
「ごめんね、ひそひそ話とか気分悪いよね?」
「……いえ」
「モモちゃんって呼ばれてるんだって?」
「……はい」
「じゃあ、私もモモちゃんって呼んでいい?」
「……はい」
向かい合う形で虎太くんと彼女さん、私と匠刀で座っていて、嫌でも視界に入る。
「飲むのも食べるのもフリーだから、好きなものどんどん食べてね」
「ありがとうございます」
初めて見た。
虎太くんのあんな無邪気な顔。
それに、虎太くんが惚れるのも分かる気がする。
スレンダーな長身で、落ち着きのある知的な感じで。
匠刀が小学校6年の時に優勝した全小の空手大会で3連覇したという彼女。
それだけでなく、他の格闘技や運動も何でもこなしていたというし。
南棟の普通科に通うだけでもハイレベルな学力なのに、彼女はその中でもエリートと言われる総合特進コースを3年間1位をキープした人。
私なんかが敵うはずない。
心臓に不安を抱えてる時点で、同じ土俵にすら上がれない。
「桃子」
「ん?」
「飲み物、取りに行くぞ」
「……うん」