『オーバーキル』一軍男子に脅かされています

9月下旬のとある日。

オリンピックでの虎太くんの活躍が未だ冷めやらぬ中。
今日は白修館高校とK大付属高校空手部との練習試合が行われる。

虎太くんの目まぐるしい活躍もあり、白修館空手部に練習試合の申し込みが殺到しているという。

それだけじゃない。
連日のように、多くの大学からスカウトの人が来ているらしく。
一躍、時の人となっている。

「モモちゃん」
「雫さん」

今日は白修館の空手道場で練習試合があることもあって、今年の春に卒業したばかりの雫さんが、応援に来た。
もちろん、虎太くんの応援に。

「匠刀くんも出るんだって?」
「はい、そうみたいです」

雫さんに初めて会ったあの日は、虎太くんを好きだと思ってたから、精神的に雫さんのことをよく見れなかったけれど。
虎太くんのオリンピック祝勝会の時に話したら、意外にもすんなりと打ち解けられて。

匠刀を好きだと自覚したことと、匠刀と付き合うことで虎太くんへの想いは完全になくなったから。
今はよき友達?姉妹??みたいな感じで仲良くできてる。

「気分悪くなったら遠慮なく言ってね」
「……はい」

匠刀が事前に説明してくれたらしくて。
私の病気のことも理解してくれた雫さん。

現在医科歯科大学の歯学部に通っていて、将来は歯科医になりたいのだとか。

虎太くんはこのまま白修館の大学に進学する予定みたいだけど。
他の大学からもたくさんスカウトされてて、少し迷ってるみたい。

その中でも有力候補は、大学空手の王者とも言える近畿地方の大学。
だけどそうなると、雫さんとは遠距離になってしまうらしい。

< 58 / 165 >

この作品をシェア

pagetop