『オーバーキル』一軍男子に脅かされています


午前10時半に自宅を出発し、無事にお昼前に学校に到着。
そして、私と匠刀は学校のすぐ近くにあるお弁当屋さんでお昼ご飯を買って、駅近くの公園で昼食中。

「食べ終わったら、帰るぞ」
「……ん」

掻いた汗が引き始めて、体温が奪われて行くからだ。

だけどね、匠刀。
筋肉量が少ないから、私は汗をあまりかかないんだよ。

それでも前に比べたら、だいぶ体温が上がりやすくなった。
それもこれも、匠刀のおかげ。
本当にありがとう。

すっかり冬の空だ。
太陽に手を翳して、指の隙間から零れる光をしっかりと感じ取る。

この時期になると、寒空の下で何かしようだなんて考えたことも無かったのに。
匠刀と一緒にいると、何でもできそうな気がして来る。

「来年の今頃は、……走れるようになってるかな」
「なってんだろ。ちゃんと怠けずにトレーニングしてれば」
「……だといいな」


たくさん歩くと大臀筋が鍛えられて、キュッと上がった美尻になるらしい。
胸は大して期待できそうにないから、せめてお尻くらいは綺麗な形にしたい。

**

「ただいま~」
「おかえりっ!!」

日曜日で休診だけれど、帰って来た私の筋肉を解すために母親が出迎えてくれた。

「足、攣ったりしなかった?」
「うん、大丈夫だったよ」
「おばさん。これ、証拠の写真」
「……ホントだ」

学校の正門前で撮った写真を見せる匠刀。
『筋力UP計画』という記録表をつけていて、スマホで撮った写真をプリントアウトして残してくれている。

定期検診の時に、主治医の財前先生に見せるんだぁ。
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