『オーバーキル』一軍男子に脅かされています
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「本当に話す気ないの?」
「……ごめん」
「じゃあ、なんで泊りに来たいって言ったの?」
「それは……」
学校から帰宅してすぐに荷物を纏めて家を出た。
母親には日中に『もとちゃんちに泊まりに行くから』と連絡しておいて、もちろんもとちゃんの家の許可も貰って。
匠刀が、私のために何でもしてくれることは分かってたけど。
さすがに将来のことまで考えてなかった私は、あの子(知佳)から言われて初めて気付いた。
私が匠刀の傍にいるから、匠刀は自分の人生を自由に歩めない。
したいことを我慢させて、できることも放棄させて。
彼の前途ある未来を、私が潰してしまうだろうということを改めて思い知った。
今匠刀の顔を見たら、また彼の優しさに甘えてしまう。
いつだって彼は私のことを最優先に考えてくれるから。
私の胸中なんてお見通しだもん。
彼が私のためにしれくれたように。
私が彼にしてあげれることはあるのかな。
勉強を教えてあげることもできなくて。
空手のアドバイスもできない。
悩みに相談に乗れるほど、器の大きい人間じゃないし。
彼女らしいことを何でもしてあげれるわけでもない。
やっと少しずつ普通の女の子に近づいて来たかな?と思ってたのに。
実際はまだまだ、途方もなく長い道のりなのだと思い知らされた。
ちゅーしたり、ぎゅーしたり、笑顔で見つめ合うことが全てじゃない。
そういうことをしなくても、彼の支えになれるのが『彼女』なんだ。
人生80年なんていうけど。
私の心臓、80年ももつのかな。
1年後に走れるようになってたらいいなだなんて考えてる私に、遠い未来を考える余裕なんてない。
「本当に話す気ないの?」
「……ごめん」
「じゃあ、なんで泊りに来たいって言ったの?」
「それは……」
学校から帰宅してすぐに荷物を纏めて家を出た。
母親には日中に『もとちゃんちに泊まりに行くから』と連絡しておいて、もちろんもとちゃんの家の許可も貰って。
匠刀が、私のために何でもしてくれることは分かってたけど。
さすがに将来のことまで考えてなかった私は、あの子(知佳)から言われて初めて気付いた。
私が匠刀の傍にいるから、匠刀は自分の人生を自由に歩めない。
したいことを我慢させて、できることも放棄させて。
彼の前途ある未来を、私が潰してしまうだろうということを改めて思い知った。
今匠刀の顔を見たら、また彼の優しさに甘えてしまう。
いつだって彼は私のことを最優先に考えてくれるから。
私の胸中なんてお見通しだもん。
彼が私のためにしれくれたように。
私が彼にしてあげれることはあるのかな。
勉強を教えてあげることもできなくて。
空手のアドバイスもできない。
悩みに相談に乗れるほど、器の大きい人間じゃないし。
彼女らしいことを何でもしてあげれるわけでもない。
やっと少しずつ普通の女の子に近づいて来たかな?と思ってたのに。
実際はまだまだ、途方もなく長い道のりなのだと思い知らされた。
ちゅーしたり、ぎゅーしたり、笑顔で見つめ合うことが全てじゃない。
そういうことをしなくても、彼の支えになれるのが『彼女』なんだ。
人生80年なんていうけど。
私の心臓、80年ももつのかな。
1年後に走れるようになってたらいいなだなんて考えてる私に、遠い未来を考える余裕なんてない。