『オーバーキル』一軍男子に脅かされています
*
「桃子、本当に病院に行かなくていいの?」
「……大丈夫だよ」
「気分悪くなったらすぐに呼ぶのよ?」
「分かってるって」
今日もずる休みをしてしまった。
もとちゃんの家に2泊させて貰って、その翌日から学校を休んで今日で3日目。
高校に入学して初めて親にわがままを言った。
『暫く、学校を休ませて』
体のいい言葉で言ったら、『身の振り方を考える』だけど。
そんないい響きのものじゃない。
匠刀やもとちゃんからの電話もメールも無視するみたいに、完全に電源を切った状態で部屋に籠ってる。
私が匠刀に会いたくないのを両親も察してくれて。
匠刀が部活帰りで家に来ても、家には入れずに帰るように説得してくれてるみたい。
もう3日目だから、たぶん今日あたりが限界だと思う。
あいつのことだから、無理やり上がり込んで来そう。
かたつむりみたいに殻に籠って考えてみたけれど。
匠刀への気持ちは何一つ変わらなかった。
ううん、考えれば考えるほど、『好き』という気持ちが膨らんで。
だからこそ余計に、匠刀に気持ちを伝える勇気が欲しい。
ちゃんと伝えなきゃ後悔すると分かってるから。
今はその勇気が満タンになるのを待ってるようなものだ。
アルバムを捲って、匠刀との想い出を思い返す。
私の過去には、いつだって匠刀が傍にいてくれて。
いつでも温かい手が差し伸べられていた。
『桃子』
両親以外で『とうこ』と呼ぶのは匠刀だけ。
何の疑いもなく当たり前のようになっていたけれど。
3日前に、もとちゃんに言われて初めて知った。
『あいつ、桃子だけど、“とうこ”と呼んでいいのは俺だけだから、星川も“モモ”って呼んで』
初めて会話した日に、そう匠刀から言われたらしい。
「桃子、本当に病院に行かなくていいの?」
「……大丈夫だよ」
「気分悪くなったらすぐに呼ぶのよ?」
「分かってるって」
今日もずる休みをしてしまった。
もとちゃんの家に2泊させて貰って、その翌日から学校を休んで今日で3日目。
高校に入学して初めて親にわがままを言った。
『暫く、学校を休ませて』
体のいい言葉で言ったら、『身の振り方を考える』だけど。
そんないい響きのものじゃない。
匠刀やもとちゃんからの電話もメールも無視するみたいに、完全に電源を切った状態で部屋に籠ってる。
私が匠刀に会いたくないのを両親も察してくれて。
匠刀が部活帰りで家に来ても、家には入れずに帰るように説得してくれてるみたい。
もう3日目だから、たぶん今日あたりが限界だと思う。
あいつのことだから、無理やり上がり込んで来そう。
かたつむりみたいに殻に籠って考えてみたけれど。
匠刀への気持ちは何一つ変わらなかった。
ううん、考えれば考えるほど、『好き』という気持ちが膨らんで。
だからこそ余計に、匠刀に気持ちを伝える勇気が欲しい。
ちゃんと伝えなきゃ後悔すると分かってるから。
今はその勇気が満タンになるのを待ってるようなものだ。
アルバムを捲って、匠刀との想い出を思い返す。
私の過去には、いつだって匠刀が傍にいてくれて。
いつでも温かい手が差し伸べられていた。
『桃子』
両親以外で『とうこ』と呼ぶのは匠刀だけ。
何の疑いもなく当たり前のようになっていたけれど。
3日前に、もとちゃんに言われて初めて知った。
『あいつ、桃子だけど、“とうこ”と呼んでいいのは俺だけだから、星川も“モモ”って呼んで』
初めて会話した日に、そう匠刀から言われたらしい。