『オーバーキル』一軍男子に脅かされています

『折り入って、お願いがあります』

人生二度目のわがままを両親にした。

連日のずる休みで何となく心構えができていたのか。
これまでのことと、これからのことを丁寧に話したら、両親は渋々了承してくれた。

「いつの間にか、随分と成長したのね」

母が呟いた言葉は、それまで甘えてばかりだった自分が、両親という偉大な殻から巣立つ準備ができたことを意味していた。

**

「モモちゃん」
「お忙しいのに呼び出してごめんなさいっ」
「いいよいいよ、モモちゃんなら大歓迎」

学校をずる休みして3日目の夜。
雫さんにわがままを言って、ファミレスで待ち合わせをした。

「虎太くん、もうすぐ来ると思うから」
「……すみません」

学校に行けば、虎太くんに会えると思うけれど、それ以上に匠刀に会う確率が高い。
ううん、私の姿を探して、教室や保健室に絶対に顔を出す人だから。

だからこうして、雫さんにお願いして、匠刀に内緒で会わせて貰えるようにお願いしたのだ。

「本当に私もいていいの?何だったら、席外すけど」
「いえ、一緒にいて下さい」
「虎太くんに直接電話したりメールしたりすればいいのに。私に気を遣わなくて大丈夫だよ?」
「……違うんです。私がそうしたいというか。……本当は、匠刀に内緒で虎太くんに会うのも嫌なんですけど。……どうしても、話しておきたいことがあって」
「何だか分からないけど、相談事ならいつでも乗るからね?」
「……ありがとうございます」

雫さんは本当によくしてくれる。
私を妹のように可愛がってくれて、今では何でも話せるようになった。

「ごめんっ、遅くなった」

19時半過ぎ。
部活終わりの虎太くんがファミレスへと来てくれた。

「とりあえず、オーダー先にしようか」
「……はい」

食べながら話すような内容じゃないんだけど。
さすがに夕食時に呼び出して、ご飯も食べずに話すなんてできない。
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