君と乗り越えた時
「今日はいつものガトーショコラと、あとこのいちごのミルフィーユください。別々に包んでもらえる?」
「かしこまりました!」
さくさくっと買うものを決めて、注文した航くん。注文通り、二つの箱にわけてケーキを入れた。
「これ、一つは莉乃ちゃんに。」
「え?!」
お会計が終わると、買った物のうちの一つは私にと渡された。
「元気ない顔してるから!莉乃ちゃん、俺が彼女に振られて暗かった時に助けてくれたから、そのお礼も兼ねて。食べてね!じゃあ!」
「あ、待って!」
航くんはそのまま店を出て行ってしまった。
どうしよう…。貰ってしまったうえにお礼も言えていない…!
「すみませ〜ん、注文いいですか?」
「あ、はい!」
あれこれ考える暇もなく、次のお客様がきてしまい、もらったケーキの箱をそっとそのままケースのはじの方にしまうと、仕事を再開した。