君と乗り越えた時

「今日はいつものガトーショコラと、あとこのいちごのミルフィーユください。別々に包んでもらえる?」

「かしこまりました!」

さくさくっと買うものを決めて、注文した航くん。注文通り、二つの箱にわけてケーキを入れた。


「これ、一つは莉乃ちゃんに。」

「え?!」

お会計が終わると、買った物のうちの一つは私にと渡された。

「元気ない顔してるから!莉乃ちゃん、俺が彼女に振られて暗かった時に助けてくれたから、そのお礼も兼ねて。食べてね!じゃあ!」

「あ、待って!」

航くんはそのまま店を出て行ってしまった。


どうしよう…。貰ってしまったうえにお礼も言えていない…!


「すみませ〜ん、注文いいですか?」

「あ、はい!」

あれこれ考える暇もなく、次のお客様がきてしまい、もらったケーキの箱をそっとそのままケースのはじの方にしまうと、仕事を再開した。




< 13 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop