君と乗り越えた時
バイトが終わり、航くんからもらったケーキの箱を持って外に出ると、そこには翔真が立っていた。
「おつかれ。」
「翔真!どうしてここに?」
「やっと時間が作れたから迎えにきた。今日は莉乃の家にいってもいい?」
「うん。いいよ。」
やった、と言って笑う翔真。会うのが久しぶりだからその笑顔がみれて安心した。
「あれ、珍しくケーキ買ったの?」
私の手元にあるケーキの箱をみて、翔真は不思議そうな顔をした。
「あ、違くて。実は今日、航くんがお客さんで来てくれたんだけど、私の分も買ってくれたんだ。」
「……へえ。その箱持つよ!」
少しだけ、ムッとした顔をしたけれど、すぐにいつもの優しい笑顔になって、私からケーキの箱を取ると、その空いた手を繋いでくれた。