君と乗り越えた時


近付くと分かる、間違いなく翔真から香る作られた甘い匂い。

その理由を聞きたいと思うのに聞けないのはその嫌な予感が現実だった時にどうしたらいいのかわからないから。

私は家に帰るまでの道、翔真の話に曖昧に笑って反応することしかできなかった。


…怖い。翔真から香る匂いが、別の人を思わせて、それがものすごく怖くて、今すぐこの人から離れたいとまで思ってしまった。

声を聞けば、顔を見れば、翔真だって頭では理解できるのに…。でも怖くて、震えてしまいそうになるのをただ耐えて家に帰った。


私は智也とのことがあってから、翔真と将以外の男の人が怖かった。

航くんとも、ショーケースを挟んでの会話だから普通にできただけの話で…。

だから隣にいる人が、違う香りがするってだけで違う人に思えて怖くて仕方なかった…。




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