君と乗り越えた時


家に着くと、翔真から離れ、自分の家の匂いに少しだけ気持ちが落ち着いた。

「最近あまり会えなくてごめん。」

「…ううん、翔真も忙しいの分かるし、私もずっと休んでた分のバイトで忙しいから平気。」


翔真があまりに悲しそうに笑って謝るから、自分の寂しいという気持ちは飲み込んだ。

疑ったらダメ。翔真は絶対に私を裏切ったりしないんだから…。


「莉乃…、キス、したい。」

「そんな風に言ってくるの、珍しいね。」

「してもいい?」

こくんと頷くと、ゆっくり近づいてくる翔真。


軽く触れるだけのキス。唇が離れて、見つめ合うと次は少し長めのキス。

今まで普通にしていたキスですら、なんだかぎこちなく感じて、ますます不安になる気持ちの正体は一体なんなんだろう。



< 17 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop