君と乗り越えた時
家に着くと、翔真から離れ、自分の家の匂いに少しだけ気持ちが落ち着いた。
「最近あまり会えなくてごめん。」
「…ううん、翔真も忙しいの分かるし、私もずっと休んでた分のバイトで忙しいから平気。」
翔真があまりに悲しそうに笑って謝るから、自分の寂しいという気持ちは飲み込んだ。
疑ったらダメ。翔真は絶対に私を裏切ったりしないんだから…。
「莉乃…、キス、したい。」
「そんな風に言ってくるの、珍しいね。」
「してもいい?」
こくんと頷くと、ゆっくり近づいてくる翔真。
軽く触れるだけのキス。唇が離れて、見つめ合うと次は少し長めのキス。
今まで普通にしていたキスですら、なんだかぎこちなく感じて、ますます不安になる気持ちの正体は一体なんなんだろう。