君と乗り越えた時
次の日、朝はいつもよりゆっくり起きて、買い物に行く支度をして、一度帰りたいという翔真と並んで歩いて彼のアパートへと向かった。
「そういえば恭弥くんは元気?」
「…あ、うん。まあ…、なんか結衣とは喧嘩してるらしいけど元気は元気。」
最近会っていない恭弥くんと結衣ちゃん。彼らはあんなに仲良かったのに喧嘩をしていることに驚いた。
「そっか…、喧嘩することもあるよね。」
「俺らはないけどね、喧嘩。」
繋いでいた手をぎゅっと強く握り直して、ふわりと笑う翔真をみていると、これから先も喧嘩をすることが全く想像できなかった。
「あ、翔真くん!」
翔真のアパートの前に着くと、そんな声が私たちの後ろから聞こえてきて、後ろを振り向くとそこにはとても可愛らしいボブの女の子がいてこちらに駆け寄ってきた。
その子に向ける翔真の視線は、とても冷たかったけど、少しだけ焦っているようにも見えた。
「ちょうどのタイミングだったね。翔真くんに会いに行こうと思ってたの。」
にこにこと話すその女の子は、まるで私なんてこの場にいないかのように翔真に話しかけていた。