君と乗り越えた時


「なんであの子がそんなことを知ってるの?」

「俺も分からなくて。だから相澤に直接聞きに行った。」

「なにか…、わかった?」

口から出た言葉は少し震えてしまった。

まだ智也のことを聞くのは怖いし、それは翔真も分かっていると思うけれど、それでも智也の名前を出したということは余程大事な話であるのだと思った。


「まず、莉乃の家に届いていた、莉乃が写った写真を撮っていたのは相澤じゃなかった。相澤の家にも同じように俺らの写真が届いていて、さらにあいつを焚き付けるような手紙が何度も入っていたらしい。」

「そんな…っ。誰が…。」

おかしいと思っていた。優しくて穏やかだった智也があんなふうになるなんて、今でも信じられないくらい、ずっと違和感を感じていた。

優しかった彼を、あそこまで追い詰めた人がいるだなんて…。


「相澤は分からないって。家に手紙と写真が毎日のように届いて、自分と付き合っていた時と違う莉乃の姿に嫉妬して追い詰められて。ついには眠れなくなってしまって処方された睡眠薬を莉乃に使ったらしい……。」

真実が明かされて、もちろん智也がしたことを完全に無かったことには出来ないけれど、でも胸が痛くなってしまった。



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